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阿倍野区昭和町駅の歯医者 ひだまり歯科からのお知らせ

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小児用フッ素の安全性

小児用フッ素の安全性

小児の歯科予防において「フッ素の使用」は、むし歯予防の中心的な役割を担ってきました。フッ素は歯質を強化し、再石灰化を促進することで、むし歯の発生を大幅に抑制する効果があると科学的に認められています。しかし一方で、保護者からは「フッ素は本当に安全なのか」「子どもに使っても問題はないのか」といった不安の声が少なからず聞かれます。本稿では、小児用フッ素の安全性について、国内外の研究や使用指針を踏まえながら、多角的に検討していきます。


1. フッ素の基本的な作用

フッ素は自然界に広く存在する元素で、飲料水、食べ物、土壌などに含まれています。歯科予防の観点から注目されるのは、フッ素が歯の表面のエナメル質に取り込まれ、「フルオロアパタイト」という耐酸性の強い結晶を形成する点です。これにより、むし歯菌が産生する酸によってエナメル質が溶けるのを防ぎます。また、フッ素は初期むし歯の段階で「再石灰化」を促し、歯の修復を助ける働きも持ちます。


2. 小児におけるフッ素応用の種類

小児に使われるフッ素には、大きく分けて以下の方法があります。

  1. フッ素洗口

    小学校や歯科医院で行われることが多く、低濃度のフッ化ナトリウム水溶液で口をすすぐ方法です。

  2. フッ素歯面塗布

    歯科医院で年数回、歯科医師や歯科衛生士が高濃度のフッ素を直接歯に塗布する方法です。

  3. フッ素入り歯磨剤

    市販の子ども用歯磨き粉には、適切な濃度のフッ素が配合されており、日常的に使用できます。

  4. 飲料水フロリデーション

    海外では公共水道にフッ素を添加する「フロリデーション」が広く行われていますが、日本では実施されていません。


3. 安全性に関する懸念

保護者が最も懸念するのは、フッ素の過剰摂取による健康被害です。代表的なのが「歯のフッ素症」で、乳幼児期に過剰にフッ素を摂取すると、歯に白斑や斑点が現れることがあります。重度になると茶褐色の変色を伴いますが、日本で一般的に行われている濃度・頻度でのフッ素使用では、重度のフッ素症が生じる可能性は極めて低いとされています。

また、さらに高濃度のフッ素を急性に大量摂取した場合、中毒症状を起こすことが知られています。しかし実際には、歯磨き粉や洗口液を誤飲しても重篤な症状に至ることは稀であり、適切な使用指導のもとでは危険性はきわめて限定的です。


4. 国内外のガイドライン

世界保健機関(WHO)、アメリカ歯科医師会(ADA)、日本小児歯科学会はいずれも「小児へのフッ素使用は安全で有効」と公式に示しています。日本小児歯科学会は、子どもの年齢に応じたフッ素濃度の歯磨剤の推奨を明確にしています。例えば、0~2歳児には1000ppm以下を米粒程度の量、3~5歳児には同じ濃度をグリーンピース大の量、といった具体的な基準が設けられています。これに従えば、過剰摂取を避けつつ十分なむし歯予防効果が得られるとされています。


5. 科学的エビデンス

多数の疫学研究によれば、フッ素の使用は小児のむし歯発生を40~60%程度減少させると報告されています。一方、軽度のフッ素症が出現するリスクも一定程度ありますが、その多くは審美的にほとんど問題にならない「白斑」程度に留まります。むしろ、むし歯による歯の崩壊や治療の負担を考慮すると、フッ素応用のメリットはデメリットを大きく上回ると評価されています。


6. 誤解と情報の混乱

インターネットや一部の書籍では「フッ素は毒である」「発がん性がある」といった主張が見られます。しかし、これらは高濃度かつ長期的に摂取した場合のリスクを誇張したものが多く、日常的な歯科予防の範囲とは大きく異なります。現行の歯科医療で推奨されている濃度や使用量を守る限り、小児に重大な健康被害を及ぼす可能性は科学的に否定されています。


7. 実際の使用上の注意点

小児用フッ素を安全に使うためには、以下の点に注意が必要です。

  • 年齢に応じた歯磨剤の量を守る

  • 子どもが歯磨き粉を飲み込まないよう保護者が見守る

  • フッ素洗口はうがいができる年齢(概ね4歳以降)から実施する

  • 歯科医院でのフッ素塗布は年数回で十分

  • サプリメントなどの追加フッ素摂取は、地域の飲料水フッ素濃度や食習慣を考慮し、歯科医の指導のもとで行う

これらを守ることで、安全性はさらに高まります。


8. フッ素の社会的意義

小児期のむし歯は、単なる歯の病気にとどまらず、全身の健康や生活習慣にも影響を与えます。乳歯のむし歯が早期に進行すると咀嚼機能が損なわれ、栄養摂取や発音の発達に影響が出ることもあります。さらに、治療への恐怖心が形成されると、生涯にわたって歯科受診を避ける傾向につながる可能性もあります。そのため、低年齢からフッ素を用いた予防を徹底することは、社会的にも大きな意義を持ちます。


9. 今後の課題

フッ素の安全性が確立されているとはいえ、地域差や個人差に応じた柔軟な対応も求められます。例えば、飲料水に天然のフッ素が多く含まれる地域では、追加のフッ素応用に注意が必要です。また、インターネット上での誤情報に惑わされないために、歯科医療従事者が積極的に情報発信を行い、保護者に正しい知識を提供する体制づくりも重要です。


10. まとめ

小児用フッ素の使用は、むし歯予防における最も確立された手段の一つであり、適切な濃度・量・方法を守る限り、安全性に大きな問題はありません。過剰摂取によるリスクは存在するものの、実際の臨床現場で指導される範囲内では、そのリスクは非常に限定的です。むしろ、フッ素を避けた結果としてむし歯が多発し、歯の喪失や全身的な健康影響を招くリスクの方がはるかに大きいといえます。保護者にとって重要なのは「フッ素を使うかどうか」ではなく、「どのように正しく使うか」です。今後もエビデンスに基づいた指導と啓発を通じて、小児の健やかな口腔健康を守っていくことが期待されます。

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