スポーツマウスガードの重要性:歯と脳を守るための必須アイテム

はじめに
スポーツを楽しむ上で、ヘルメットやプロテクターなどの防具を着用することは当然と考えられていますが、口腔内を守るマウスガードについては、まだ十分に認識されていないのが現状です。しかし、スポーツ中の歯や顎の怪我は想像以上に多く、重大な結果をもたらすことがあります。一度失った歯は二度と戻りませんし、顎の骨折は長期間の治療を要します。この記事では、スポーツマウスガードがなぜ重要なのか、どのような効果があるのか、そしてどのように選べばよいのかを詳しく解説します。自分や子どもの歯と健康を守るために、マウスガードの重要性を正しく理解しましょう。
スポーツ中の口腔外傷の実態
スポーツによる歯や口の怪我は、思っている以上に頻繁に起こります。研究によると、スポーツ中の外傷の約3割が顔面や口腔領域に起こるとされています。特に若年層のスポーツ選手に多く見られ、歯が折れる、抜ける、唇や頬を切る、顎を骨折するなどの重大な怪我につながることがあります。
ボールが顔に当たる、相手選手と衝突する、転倒して顔面を打つなど、様々な状況で口腔外傷は発生します。特にコンタクトスポーツでは、こうした事故のリスクが高くなります。前歯を失うと、見た目の問題だけでなく、食事や発音にも影響し、心理的なダメージも大きいものです。
マウスガードの役割と効果
歯の保護
マウスガードの最も基本的な役割は、歯を直接的な衝撃から守ることです。外部からの力を分散させ、歯が折れたり抜けたりするのを防ぎます。特に前歯は突出しているため、怪我をしやすい部位です。マウスガードを装着することで、歯の損傷リスクを大幅に減少させることができます。
研究によると、マウスガードを装着することで、歯の損傷リスクが約60倍減少するという報告もあります。これは驚くべき予防効果です。
軟組織の保護
マウスガードは、唇、頬、舌などの軟組織を歯から守る役割もあります。衝撃により口の中で歯が頬や唇を切ってしまうことを防ぎます。縫合が必要になるような重大な裂傷を予防できます。
顎関節と顎骨の保護
下顎に強い衝撃が加わると、顎関節や顎の骨にダメージが及ぶことがあります。マウスガードは衝撃を吸収するクッションの役割を果たし、顎関節症や顎骨骨折のリスクを軽減します。顎の骨折は治療に長期間を要し、スポーツ活動を長期間休まなければならなくなります。
脳震盪の予防
最近の研究では、マウスガードが脳震盪のリスクを軽減する可能性が示唆されています。下顎への衝撃が頭部に伝わるのを和らげ、脳へのダメージを軽減すると考えられています。脳震盪は、スポーツ選手にとって深刻な問題であり、繰り返し起こると長期的な健康被害につながる可能性があります。
パフォーマンスの向上
適切に作られたマウスガードは、噛み合わせを安定させることで、身体のバランスを改善し、筋力の発揮を助ける効果があるとされています。また、安心してプレーできることで、精神的なリラックスにもつながり、パフォーマンスの向上が期待できます。
マウスガードが必要なスポーツ
義務化されているスポーツ
ボクシング、アメリカンフットボール、ラグビー、アイスホッケー、ラクロスなどのコンタクトスポーツでは、競技規則でマウスガードの装着が義務付けられています。これらのスポーツは身体接触が激しく、口腔外傷のリスクが非常に高いためです。
推奨されるスポーツ
野球、ソフトボール、サッカー、バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、柔道、空手などでも、マウスガードの使用が強く推奨されています。これらのスポーツでも、ボールや相手選手との接触により、口腔外傷が起こる可能性があります。
その他のスポーツ
スケートボード、スキー、スノーボード、自転車競技、体操など、転倒のリスクがあるスポーツでも、マウスガードの装着を検討する価値があります。子どものスポーツでは、特に技術が未熟な段階では予期せぬ怪我が起こりやすいため、マウスガードの使用をおすすめします。
マウスガードの種類
既製品タイプ
スポーツ用品店などで購入できる、すぐに使える既製品のマウスガードです。最も安価ですが、サイズが合わないことが多く、フィット感が悪いため、保護効果が限定的です。また、装着感が悪く、呼吸や会話がしにくいという欠点があります。
応急的な使用や、マウスガードを試してみたい場合には適していますが、長期的な使用にはおすすめできません。
マウスフォームタイプ
お湯で柔らかくして、自分の歯型に合わせて成形するタイプです。既製品よりはフィット感が良く、価格も比較的安価です。スポーツ用品店で購入できます。
ただし、自分で成形するため、うまく作れないと保護効果が十分に得られないことがあります。また、使用しているうちにフィット感が悪くなることもあります。
カスタムメイドタイプ
歯科医院で歯型を取り、個人専用に作製するマウスガードです。最も高価ですが、フィット感、装着感、保護効果のすべてにおいて優れています。呼吸や会話もしやすく、長時間の使用でも快適です。
歯並びに完全にフィットするため、ずれにくく、外れにくいという利点もあります。競技レベルの高いアスリートや、子どもの成長期のスポーツには、カスタムメイドが最適です。
カスタムメイドマウスガードの作製過程
歯科医院でのカスタムメイドマウスガード作製は、まず口腔内の検査から始まります。虫歯や歯周病がある場合は、先に治療を行います。次に、精密な歯型を取ります。この歯型をもとに、専門の技工所でマウスガードが作製されます。
完成したマウスガードは、実際に装着してフィット感を確認し、必要に応じて調整します。噛み合わせや装着感、呼吸のしやすさなどを細かくチェックし、最適な状態に仕上げます。作製には通常1週間から2週間程度かかります。
費用は歯科医院や使用する材料により異なりますが、一般的に1万円から3万円程度です。保険適用外の自費診療となります。
マウスガードの正しい使用方法とケア
装着方法
マウスガードは、上の歯に装着するのが一般的です。水で濡らしてから装着すると、フィット感が向上します。しっかりと噛んで密着させ、違和感がないか確認しましょう。ずれたり外れたりする場合は、調整が必要です。
使用時の注意点
マウスガードをしているからといって、無謀なプレーをしてはいけません。あくまで万が一の事故に備えた予防策です。また、他人のマウスガードを使用することは、衛生上の問題があるため避けてください。
お手入れ方法
使用後は、必ず水で洗い流し、歯ブラシで優しく磨きます。熱湯は変形の原因となるため、使用しないでください。専用の洗浄剤を使用すると、より清潔に保てます。洗浄後は、十分に乾燥させてから、専用のケースに保管します。
直射日光や高温の場所は避け、通気性の良い場所で保管しましょう。変形や破損がないか、定期的にチェックすることも大切です。
交換時期
カスタムメイドマウスガードでも、使用頻度により劣化します。一般的には1年から2年程度での交換が推奨されます。穴が開いた、薄くなった、フィット感が悪くなったなどの場合は、すぐに新しいものを作製しましょう。
また、子どもの場合は成長により歯並びが変化するため、より頻繁な作り直しが必要になります。定期的に歯科医院でチェックしてもらうことをおすすめします。
子どものマウスガード使用
成長期の子どもにとって、歯を守ることは特に重要です。乳歯や生えたばかりの永久歯は弱く、怪我をしやすい状態です。一度失った永久歯は二度と生えてきません。スポーツを始める時期に合わせて、マウスガードの使用を検討しましょう。
子ども用のマウスガードは、成長に合わせて作り直す必要があるため、費用がかかりますが、将来の歯科治療費と比較すれば、はるかに経済的です。また、早い時期からマウスガードに慣れておくことで、違和感なく使用できるようになります。
学校のクラブ活動や地域のスポーツチームで、マウスガードの使用を推奨してもらうよう働きかけることも、子どもたちの安全を守る上で重要です。
まとめ
スポーツマウスガードは、歯、顎、軟組織を衝撃から守り、さらには脳震盪のリスクも軽減する重要な防具です。一度失った歯や起こってしまった怪我は、取り返しがつきません。コンタクトスポーツはもちろん、転倒の危険があるスポーツでも、マウスガードの使用を検討すべきです。特に子どもの場合、成長期の大切な歯を守るために、マウスガードは必須アイテムと言えます。カスタムメイドのマウスガードは、フィット感と保護効果に優れており、長期的に見れば最も経済的で効果的な選択です。歯科医院で相談し、自分に合ったマウスガードを作製しましょう。スポーツを安全に楽しみ、一生涯自分の歯で食事を楽しめるよう、今日からマウスガードの使用を始めてください。
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