はじめに
口の乾きが気になる、食べ物が飲み込みにくい、口臭が強くなった気がする。これらの症状は、唾液不足のサインかもしれません。唾液は口腔内の健康を守る重要な役割を果たしており、不足すると虫歯や歯周病、口臭など様々な問題を引き起こします。しかし、日常生活の中で簡単にできる方法で、唾液の分泌を増やすことが可能です。本記事では、誰でも今日から実践できる唾液を増やす方法を詳しくご紹介します。
よく噛んで食べる
唾液を増やす最も基本的で効果的な方法は、よく噛んで食べることです。咀嚼は唾液腺を直接刺激し、分泌を促進します。
理想的には、一口につき30回程度噛むことが推奨されます。最初は回数を数えながら食べると良いでしょう。よく噛むことで唾液が十分に分泌され、食べ物と混ざり合い、消化も促進されます。
早食いの習慣がある人は、意識的にゆっくり食べるようにしましょう。一口食べたら箸を置く、誰かと会話しながら食べるなど、ペースを落とす工夫をすると良いでしょう。
また、食材の選び方も重要です。柔らかいものばかりでなく、適度に硬い食べ物を取り入れることで、自然と咀嚼回数が増えます。根菜類、玄米、ナッツ類、生野菜などは、噛みごたえがあり唾液分泌に効果的です。
朝食をしっかり食べることも大切です。朝食を抜くと、午前中の唾液分泌が少なくなります。時間がなくても、せめてパンやおにぎりなど、噛む必要があるものを食べましょう。
こまめな水分補給
体内の水分が不足すると、唾液の分泌も減少します。十分な水分補給は、唾液を増やすために不可欠です。
1日に1.5リットルから2リットルの水を飲むことが目安です。一度に大量に飲むのではなく、少量ずつこまめに飲むことが効果的です。コップ半分程度の水を、1時間に1回程度のペースで飲むと良いでしょう。
特に、起床時、食事の前後、入浴後、就寝前は、意識的に水を飲むタイミングとして設定すると習慣化しやすくなります。
冷たすぎる水は体を冷やすため、常温または白湯がおすすめです。夏場でも、氷をたくさん入れた冷たい水よりは、常温の水の方が体に優しく、唾液分泌にも良い影響を与えます。
カフェインやアルコールは利尿作用があり、体内の水分を減らすため、飲み過ぎに注意が必要です。コーヒーやお茶を飲んだ後は、同量の水を飲むことを心がけましょう。
唾液腺マッサージ
唾液腺を直接刺激するマッサージは、即効性があり、いつでもどこでもできる方法です。主な唾液腺は三つあります。
耳下腺は、耳たぶの少し前、頬の奥にあります。ここを指の腹で円を描くように優しくマッサージします。10回程度、後ろから前に向かって回します。
顎下腺は、顎の骨の内側、エラの下にあります。親指を顎の骨の内側に当て、耳の下から顎先に向かって5箇所程度を順番に押します。各箇所を5回程度、優しく押しましょう。
舌下腺は、顎の先端の内側、舌の付け根にあります。両手の親指を揃えて、顎の真下から舌を押し上げるように10回程度優しく押します。
このマッサージを1日に3回から5回、特に食事の前に行うと効果的です。口の乾きを感じたときにも、すぐに実践できる方法です。
痛みを感じるほど強く押す必要はありません。優しく、心地よいと感じる程度の力で十分です。
ガムを噛む
ガムを噛むことは、手軽に唾液分泌を促進できる方法です。咀嚼運動により唾液腺が刺激され、持続的に唾液が分泌されます。
ただし、砂糖入りのガムは虫歯のリスクを高めるため、シュガーレスガムを選びましょう。特にキシリトール配合のガムは、虫歯予防効果もあり、おすすめです。
仕事中や勉強中など、長時間話さない状況では口が乾きやすくなります。そのようなときにガムを噛むことで、唾液分泌を維持できます。
ただし、顎関節症がある人や、長時間噛むと顎が痛くなる人は注意が必要です。無理のない範囲で利用しましょう。
酸味のあるものを想像する・食べる
梅干しやレモンなど、酸っぱいものを想像するだけでも唾液が分泌されます。これは条件反射によるもので、脳が酸味を認識すると、唾液腺に分泌の指令を出します。
実際に酸味のあるものを少量食べることも効果的です。梅干し、レモン、酢の物などを食事に取り入れると、唾液分泌が促進されます。
ただし、酸は歯のエナメル質を溶かす作用もあるため、酸っぱいものを食べた後は、すぐに歯を磨かず、30分程度待ってから磨くようにしましょう。すぐに磨くと、軟化したエナメル質を傷つける可能性があります。
舌の運動
舌を動かすことで、唾液腺が刺激され、分泌が促進されます。簡単な舌の運動をご紹介します。
舌を前に出したり引っ込めたりする運動を10回繰り返します。次に、舌を左右に動かす運動を10回行います。さらに、舌で唇の周りを一周なめるような動きを、右回り、左回りそれぞれ5回ずつ行います。
また、舌を上顎に押し付けてから離す運動も効果的です。舌全体を上顎に吸着させ、そこから勢いよく離すと「ポン」という音がします。これを10回程度繰り返します。
これらの運動は、唾液分泌を促すだけでなく、舌の筋肉を鍛える効果もあります。食事の前や、口の乾きを感じたときに行うと良いでしょう。
鼻呼吸を心がける
口呼吸は口腔内を乾燥させ、唾液を減少させます。鼻呼吸を心がけることが重要です。
日中、気づいたときに口が開いていないか確認し、意識的に口を閉じて鼻で呼吸するようにしましょう。最初は意識が必要ですが、次第に習慣化されます。
鼻詰まりがある場合は、耳鼻科を受診して治療を受けることをおすすめします。アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎を治療することで、鼻呼吸がしやすくなります。
就寝時に口呼吸になりやすい人は、口呼吸防止用のテープを使用する方法もあります。ただし、鼻が完全に詰まっている状態では使用しないでください。
ストレス管理とリラックス
ストレスや緊張は、交感神経を活性化し、唾液の分泌を減少させます。リラックスすることで副交感神経が優位になり、唾液が分泌されやすくなります。
深呼吸は、簡単にできるリラックス法です。ゆっくりと深く息を吸い、ゆっくりと吐くことを数回繰り返すだけで、副交感神経が活性化されます。
十分な睡眠も重要です。睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、唾液分泌を減少させます。質の良い睡眠を7時間から8時間確保しましょう。
趣味の時間を持つ、音楽を聴く、散歩をするなど、自分なりのリラックス方法を見つけて実践することも大切です。
生活習慣の改善
喫煙は唾液の分泌を減少させます。タバコに含まれるニコチンが血管を収縮させ、唾液腺への血流を減らすためです。禁煙することで、唾液分泌が改善されます。
アルコールの過剰摂取も避けましょう。適量であれば問題ありませんが、飲み過ぎは脱水を引き起こし、唾液を減少させます。
薬の副作用で口が乾く場合もあります。降圧剤、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などは、口腔乾燥の副作用があります。薬による口の乾きが気になる場合は、医師に相談してください。
唾液分泌を促す食品
特定の食品には、唾液分泌を促進する効果があります。
昆布やわかめなどの海藻類には、ぬめり成分が含まれており、口の中を潤す効果があります。梅干しは酸味により唾液分泌を促進します。
生姜には唾液分泌を促進する成分が含まれています。紅茶に生姜を入れたり、料理に使ったりすると良いでしょう。
キノコ類、特にしいたけには、唾液分泌を促す成分が含まれているという研究もあります。
これらの食品を日常的に取り入れることで、自然と唾液分泌が促進されます。
まとめ
唾液を増やすには、よく噛んで食べる、こまめに水分補給をする、唾液腺マッサージを行う、ガムを噛む、酸味のあるものを取り入れる、舌の運動をする、鼻呼吸を心がける、ストレスを管理する、生活習慣を改善するなど、様々な方法があります。
これらはどれも簡単で、今日から始められるものばかりです。複数の方法を組み合わせることで、より効果的に唾液分泌を増やせます。口の乾きが気になる方は、ぜひ実践してみてください。症状が改善しない場合は、歯科医院や内科を受診し、専門家に相談しましょう。
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