はじめに
転倒、事故、硬いものを噛んだ拍子など、予期せぬタイミングで歯が欠けることがあります。突然の出来事に驚き、パニックになってしまう方も少なくありません。「すぐに歯医者に行けない」「欠けた破片はどうすればいい?」「痛みがないけど大丈夫?」など、様々な疑問が浮かぶでしょう。歯が欠けた場合、適切な応急処置をすることで、その後の治療がスムーズになり、歯を守ることができます。逆に、間違った対処をすると、症状を悪化させたり、治療を困難にしたりする恐れがあります。本記事では、歯が欠けたときの正しい応急処置、やってはいけないこと、受診のタイミング、そして歯科医院を受診するまでの注意点について詳しく解説します。
歯が欠けた直後にすべきこと
歯が欠けたら、まず冷静になることが大切です。慌てず、以下の手順で対処しましょう。
第一に、口の中を確認します。鏡で、どの歯がどの程度欠けているかを確認します。出血がある場合は、清潔なガーゼやティッシュで優しく押さえます。
第二に、欠けた破片を探します。見つかった場合は、水で軽く洗い、清潔な容器や小袋に入れて保管します。乾燥を防ぐため、少量の水や生理食塩水、牛乳に浸けておくと良いでしょう。唾液でも構いません。破片を歯科医院に持参すれば、場合によっては接着して元に戻せることもあります。
第三に、口の中を清潔にします。ぬるま湯で優しく口をゆすぎます。強くうがいすると、欠けた部分を刺激するため、優しく行います。
第四に、痛みがある場合は冷やします。頬の外側から、濡れタオルや保冷剤をタオルで包んだものを当てます。氷を直接当てると冷やしすぎになるため避けましょう。
第五に、できるだけ早く歯科医院に連絡します。状況を説明し、受診の予約を取ります。緊急の場合は、当日診てもらえることもあります。
欠けた程度による違い
歯の欠け方により、緊急度や対処法が異なります。
表面のエナメル質だけが少し欠けた場合は、痛みがないことが多いです。しかし、放置すると欠けた部分から虫歯になったり、さらに欠けたりする恐れがあります。数日以内には受診しましょう。
エナメル質を超えて象牙質まで欠けた場合は、冷たいものや甘いものがしみることがあります。象牙質は神経に近いため、早めの治療が必要です。できれば当日から数日以内に受診します。
神経まで達するほど大きく欠けた場合は、激しい痛みを伴うことが多いです。神経が露出している可能性があり、緊急の治療が必要です。できるだけ早く、当日中に受診しましょう。
歯が根元から折れた場合も緊急です。すぐに歯科医院または救急歯科を受診します。
やってはいけないこと
歯が欠けたとき、以下の行動は絶対に避けましょう。
第一に、欠けた部分を舌や指で触らないことです。刺激により痛みが増したり、細菌が入り込んだりする恐れがあります。
第二に、欠けた破片を自分で接着剤でくっつけようとしないことです。市販の接着剤は口の中で使用するものではなく、有毒です。また、正しい位置に戻せないため、噛み合わせが狂います。
第三に、欠けた歯で硬いものを噛まないことです。さらに欠ける恐れがあります。食事は反対側で噛み、欠けた歯には負担をかけないようにします。
第四に、熱いものや冷たいもの、甘いものなど、刺激物を避けることです。欠けた部分が象牙質や神経に近い場合、激しい痛みを引き起こします。
第五に、欠けた部分を爪楊枝などで触らないことです。傷つけたり、細菌を入れたりする危険があります。
痛みがある場合の対処
歯が欠けて痛みがある場合の対処法です。
まず、冷やすことが効果的です。頬の外側から冷やすことで、炎症を抑え、痛みを軽減できます。ただし、長時間冷やしすぎないよう注意します。
市販の鎮痛剤を服用することもできます。イブプロフェンやアセトアミノフェンなどが有効です。用法用量を守り、適切に使用します。ただし、これは一時的な対処であり、根本的な治療ではありません。
痛みが激しい場合、神経が露出している可能性があります。できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。夜間や休日であれば、休日夜間診療所や救急歯科を利用します。
痛み止めで我慢して受診を先延ばしにすると、症状が悪化する恐れがあります。必ず専門家の治療を受けましょう。
痛みがない場合の注意点
欠けても痛みがない場合、つい放置してしまいがちですが、これは危険です。
痛みがないのは、欠けた部分が浅く、神経に達していないためです。しかし、エナメル質が欠けた状態では、象牙質が露出していたり、露出しやすくなっていたりします。
欠けた部分は鋭利になっていることが多く、舌や頬の粘膜を傷つける恐れがあります。また、欠けた部分から虫歯菌が侵入し、内部で虫歯が進行することもあります。
さらに、小さな欠けでも、咬合力がかかることで、さらに大きく欠ける可能性があります。
痛みがなくても、数日以内には歯科医院を受診し、適切な処置を受けることが重要です。
欠けた破片の保管方法
欠けた破片が見つかった場合、適切に保管することで、治療に役立つことがあります。
破片は、水で軽く洗います。ゴシゴシ洗わず、軽くすすぐ程度にします。洗剤や石鹸は使用しません。
清潔な小さな容器や小袋に入れます。乾燥を防ぐため、少量の水や生理食塩水を入れます。牛乳や唾液でも構いません。
冷蔵庫に保管すると、さらに良い状態を保てます。ただし、凍らせないように注意します。
破片を持参すれば、歯科医師が接着できるか判断します。特に前歯の場合、破片を使うことで、より自然な見た目に仕上がることがあります。
破片が見つからない場合も、心配する必要はありません。他の方法で治療できます。
受診までの食事の注意
歯科医院を受診するまでの間、食事にも注意が必要です。
欠けた歯では噛まないようにします。反対側で噛むか、欠けた歯に食べ物が触れないようにします。
柔らかいものを選びましょう。おかゆ、うどん、豆腐、ヨーグルト、スープなど、あまり噛まずに食べられるものが理想的です。
硬いもの、粘着性のあるもの、刺激の強いものは避けます。せんべい、ナッツ、キャラメル、ガム、極端に熱いものや冷たいもの、辛いもの、酸っぱいものなどです。
食後は、ぬるま湯で優しく口をゆすぎます。欠けた部分に食べかすが詰まらないようにします。
応急処置キットの準備
万が一に備えて、家庭に応急処置キットを用意しておくと安心です。
清潔なガーゼやティッシュ、小さな清潔な容器、生理食塩水または滅菌水、鎮痛剤、かかりつけ歯科医院の連絡先メモなどを用意します。
スポーツをする方は、マウスガードを使用することで、歯が欠けるリスクを大幅に減らせます。
子どもがいる家庭では、子どもの手の届かない場所に保管し、必要なときにすぐ使えるようにしておきましょう。
歯科医院での治療
歯科医院では、欠けた状態に応じて様々な治療が行われます。
小さな欠けの場合、レジン(プラスチック)を詰めて修復します。1回の治療で終わることが多く、見た目も自然に仕上がります。
中程度の欠けの場合、詰め物や部分的な被せ物で修復します。型を取って作成するため、数回の通院が必要なこともあります。
大きく欠けた場合、被せ物(クラウン)で覆います。神経に達している場合は、根管治療も必要になります。
破片が保管されていて、条件が良ければ、接着して元に戻すこともあります。
子どもの歯が欠けた場合
子どもの歯が欠けた場合も、基本的な対処は同じですが、いくつか注意点があります。
子どもは痛みや恐怖をうまく表現できないことがあります。落ち着かせ、優しく状況を確認しましょう。
乳歯が欠けた場合でも、放置せず歯科医院を受診します。永久歯の発育に影響する可能性があるためです。
永久歯が欠けた場合は、一生使う歯なので、特に早急な対処が必要です。
子どもが欠けた破片を飲み込まないよう注意します。もし飲み込んでしまっても、通常は便とともに排出されるため、過度に心配する必要はありません。ただし、呼吸困難などの症状があれば、すぐに医療機関を受診します。
予防のために
歯が欠けるのを予防するための対策もあります。
硬いものを無理に噛まないことです。氷、硬いキャンディ、骨付き肉の骨などは、歯を欠ける原因になります。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、マウスピースを使用しましょう。就寝中に歯を守ることができます。
虫歯や歯周病があると、歯が弱くなり欠けやすくなります。定期的な歯科検診と適切な治療を受けましょう。
スポーツ時には、マウスガードの着用が推奨されます。特にコンタクトスポーツでは必須です。
まとめ
歯が欠けたときは、冷静に対処することが重要です。欠けた破片を保管し、口の中を清潔にし、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
痛みがなくても放置せず、数日以内には受診することが大切です。自己判断で接着剤を使ったり、欠けた部分を触ったりすることは避けましょう。
適切な応急処置と早期受診により、歯を守り、より良い治療結果が得られます。万が一に備えて、応急処置の知識を持っておきましょう。
怖くない!痛くない!阿倍野区昭和町おすすめ、ひだまり歯科でリラックスしながら治療を受けましょう!
是非、ご来院ください。




