はじめに
離乳食は、赤ちゃんが母乳やミルクから固形食へと移行する大切な過程です。多くの保護者が、栄養面に注目しがちですが、実は離乳食の進め方は、顎の発達や将来の歯並びにも大きく影響します。適切な時期に適切な硬さの食べ物を与えることで、顎の骨や筋肉が正常に発達し、永久歯がきれいに並ぶためのスペースが確保されます。逆に、柔らかいものばかりを与え続けたり、離乳食の開始が遅すぎたりすると、顎の発達が不十分になり、将来的に歯並びの問題を引き起こす可能性があります。この記事では、離乳食と顎の発達の関係について、発達段階に応じた離乳食の進め方、噛むことの重要性、注意点などを詳しく解説していきます。
顎の発達と歯並びの関係
顎の成長のメカニズム
顎の骨は、咀嚼(噛むこと)による刺激を受けて成長します。硬いものを噛むとき、顎の骨や筋肉に力がかかり、この刺激が骨の成長を促します。
特に乳幼児期から小児期にかけては、顎の骨が最も活発に成長する時期です。この時期に適切な咀嚼刺激を与えることが、正常な顎の発達には不可欠です。
顎が小さいことの問題
現代の子どもは、昔の子どもと比べて顎が小さい傾向があります。これは、柔らかい食べ物が中心の食生活により、十分な咀嚼刺激が得られていないことが一因とされています。
顎が小さいと、すべての歯がきれいに並ぶスペースが不足し、叢生(ガタガタの歯並び)の原因となります。
離乳食の役割
離乳食は、単に栄養を摂取するだけでなく、「噛む」という動作を学び、顎を発達させるための重要な訓練期間です。
離乳食の段階と顎の発達
離乳食は、赤ちゃんの発達段階に応じて、徐々に硬さや形状を変えていきます。
5〜6ヶ月頃:離乳食初期(ゴックン期)
食べ物の形状
なめらかにすりつぶしたポタージュ状のものから始めます。ヨーグルトくらいの硬さが目安です。
顎の動き
この時期は、まだ「噛む」というより、舌で食べ物を喉の奥に送り込む「嚥下」の練習をしています。顎はほとんど動きません。
発達への影響
口に食べ物を入れる感覚、舌の動きを学ぶ時期です。焦らず、少量から始めましょう。
7〜8ヶ月頃:離乳食中期(モグモグ期)
食べ物の形状
舌でつぶせる硬さのものを与えます。豆腐くらいの硬さが目安です。みじん切りや粗つぶしにします。
顎の動き
舌と上顎で食べ物をつぶす動作が始まります。口を上下に動かすようになります。
発達への影響
この時期から、顎の上下運動が始まり、顎の筋肉が発達し始めます。適切な硬さのものを与えることで、顎の発達を促すことができます。
9〜11ヶ月頃:離乳食後期(カミカミ期)
食べ物の形状
歯茎でつぶせる硬さのものを与えます。バナナくらいの硬さが目安です。5ミリから1センチ角くらいに切ります。
顎の動き
歯茎で噛みつぶす動作が活発になります。上下だけでなく、左右にも顎を動かすようになります。
発達への影響
噛む力が強くなり、顎の骨や筋肉がさらに発達します。手づかみ食べを経験させることで、自分で前歯で噛み切る動作も学びます。
12〜18ヶ月頃:離乳食完了期(パクパク期)
食べ物の形状
歯茎で噛める硬さのものから、徐々に大人と同じような硬さのものへと移行します。肉団子くらいの硬さが目安です。
顎の動き
奥歯が生え始め、しっかりと噛む動作ができるようになります。顎を前後左右に動かして、効率的に食べ物をすりつぶします。
発達への影響
この時期にしっかり噛む習慣をつけることで、顎の成長が促進され、将来の歯並びの基礎が作られます。
噛むことの重要性
顎の骨の成長
噛むことで顎の骨に刺激が伝わり、骨の成長が促進されます。特に横方向への成長が促され、歯が並ぶスペースが確保されます。
筋肉の発達
咀嚼により、顎の周りの筋肉が発達します。咀嚼筋が発達することで、より効率的に食べ物を噛めるようになり、顔つきも引き締まります。
唾液の分泌
よく噛むことで、唾液の分泌が促進されます。唾液には、消化を助ける作用、口の中を清潔に保つ作用、虫歯を予防する作用などがあります。
脳の発達
噛むという動作は、脳に刺激を与え、脳の発達を促すとされています。
味覚の発達
よく噛むことで、食べ物の味をしっかり感じることができ、味覚の発達にもつながります。
離乳食の進め方のポイント
月齢だけで判断しない
離乳食の進め方は、月齢だけでなく、赤ちゃんの発達状況を見ながら判断します。同じ月齢でも、発達には個人差があります。
以下のようなサインが見られたら、次の段階に進む目安です。
- 食べ物を上手に飲み込めるようになった
- 口をモグモグ動かしている
- 食べ物に興味を示す
- スプーンを口に入れても押し返さない
段階を飛ばさない
早く大人と同じものを食べさせたいと思っても、段階を飛ばすのは避けましょう。顎の発達は段階的に進むため、急に硬いものを与えると、丸飲みしてしまったり、食べるのを嫌がったりします。
柔らかすぎるものばかりにしない
逆に、いつまでも柔らかいものばかり与えていると、顎の発達が遅れます。月齢に応じて、適切に硬さを進めていきましょう。
手づかみ食べを経験させる
9ヶ月頃から、手づかみ食べをさせることが推奨されます。自分で食べ物を持ち、前歯で噛み切るという動作は、顎の発達や歯並びに良い影響を与えます。
汚れることを恐れず、手づかみ食べを十分に経験させましょう。
よく噛むことを促す
「よく噛んで食べようね」と声をかけ、ゆっくり食べることを促しましょう。急いで食べると、丸飲みしてしまい、顎の発達につながりません。
家族が一緒に食事をし、よく噛む姿を見せることも大切です。
注意すべき食生活
柔らかいものばかりの食事
ハンバーグ、麺類、パンなど、柔らかい食べ物ばかりを与えていると、顎の発達が不十分になります。根菜類、肉、魚など、噛みごたえのある食材も取り入れましょう。
だらだら食べ
食事の時間を決めず、いつも何かを口にしている「だらだら食べ」は、虫歯のリスクを高めるだけでなく、しっかり噛む習慣も身につきません。
食事とおやつの時間を決め、メリハリをつけましょう。
早食い
急いで食べる習慣がつくと、よく噛まずに飲み込んでしまいます。ゆっくり食べる環境を整えましょう。
顎の発達を促す工夫
食材の選び方
根菜類(にんじん、大根、ごぼうなど)、葉物野菜、肉、魚など、噛みごたえのある食材を積極的に取り入れましょう。
調理方法
離乳食後期以降は、必要以上に細かく刻んだり、柔らかく煮すぎたりしないようにします。適度な大きさと硬さを保ちましょう。
食事の環境
落ち着いて食事ができる環境を整えます。テレビを消し、家族で会話を楽しみながら食事をすることで、ゆっくり噛んで食べることができます。
おやつの工夫
おやつも、せんべい、干し芋、小魚など、噛みごたえのあるものを選ぶと良いでしょう。
歯科医院での相談
離乳食の進め方や顎の発達について不安がある場合は、歯科医院で相談できます。
特に、以下のような場合は相談してみましょう。
- 離乳食を嫌がり、進まない
- いつまでも柔らかいものしか食べない
- 丸飲みしてしまう
- 顎が小さい気がする
- 歯並びが気になる
小児歯科や、歯科衛生士による離乳食指導を行っている歯科医院もあります。
まとめ
離乳食は、栄養摂取だけでなく、顎の発達や将来の歯並びに大きく影響します。赤ちゃんの発達段階に応じて、適切な硬さと形状の食べ物を与え、よく噛む習慣を身につけさせることが重要です。
柔らかいものばかりではなく、段階的に硬さを進め、手づかみ食べも経験させましょう。よく噛むことで、顎の骨や筋肉が発達し、永久歯がきれいに並ぶスペースが確保されます。
離乳食の時期は、一生の口腔健康の基礎を作る大切な時期です。焦らず、赤ちゃんのペースに合わせながら、楽しく離乳食を進めていきましょう。
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