歯科医が伝えたい「一生自分の歯でいるために」:今日から始める7つの習慣

はじめに
「一生自分の歯で食べる」これは、誰もが望むことではないでしょうか。美味しい食事を楽しむ、好きな人と笑い合う、健康でいきいきとした毎日を送る。これらすべてに、歯の健康が深く関わっています。歯科医として、日々多くの患者さんを診療する中で、痛切に感じることがあります。それは、「もっと早く適切なケアを始めていれば、この歯を失わずに済んだのに」ということです。歯を失う主な原因は、虫歯と歯周病です。これらは、いずれも生活習慣病であり、日々の習慣により予防できます。特別な才能や高額な費用は必要ありません。正しい知識と、毎日の小さな積み重ねがあれば、誰でも一生自分の歯を守ることができます。80歳で20本以上の歯を残すという「8020運動」は、決して夢ではありません。この記事では、歯科医として、一生自分の歯でいるために本当に大切なことを、7つの習慣としてお伝えします。今日から始められることばかりです。
習慣1:毎日の丁寧な歯磨き
これは基本中の基本ですが、最も重要です。
1日2回、朝食後と就寝前
特に就寝前は必須です。就寝中は唾液の分泌が減少し、細菌が繁殖しやすくなります。
3分かけて丁寧に
すべての歯の表面、裏面、噛む面を磨きましょう。磨く順番を決めることで、磨き残しを防げます。
正しい磨き方
力を入れすぎず、歯ブラシを45度の角度で当て、小刻みに動かします。歯と歯茎の境目を意識して磨きましょう。
歯ブラシの選び方と交換
自分の口に合った、ヘッドが小さく毛が柔らかい歯ブラシを選びましょう。毛先が開いたら、1ヶ月から2ヶ月に1回交換します。
歯科医として強調したいのは、「時間をかけて丁寧に」ということです。急いで磨くよりも、ゆっくり丁寧に磨く方が、はるかに効果的です。
習慣2:デンタルフロスの毎日使用
これは、多くの方が実践できていない習慣ですが、歯科医として最も強調したいことの一つです。
なぜフロスが必要か
虫歯の約90%は、歯と歯の間から始まります。ここは、歯ブラシだけでは絶対に磨けません。
1日1回、就寝前に
すべての歯の間にフロスを通しましょう。最初は時間がかかりますが、慣れれば3分程度で終わります。
正しい使い方
40センチメートル程度のフロスを切り、両手の中指に巻き付けます。歯と歯の間にゆっくりと入れ、歯の側面に沿わせて上下に動かします。
歯科医として断言します。フロスを毎日使用している方と、使用していない方では、10年後、20年後の歯の健康状態に、大きな差が出ます。
習慣3:フッ素の積極的活用
フッ素は、科学的に証明された虫歯予防の最強の味方です。
フッ素入り歯磨き粉
フッ素濃度1450ppm程度の歯磨き粉を使用しましょう。6歳以上であれば、高濃度フッ素入りが推奨されています。
うがいは少なめに
歯磨き後のうがいは、少量の水で1回だけにとどめます。フッ素を口の中に残すことで、再石灰化が促進されます。
歯科医院でのフッ素塗布
定期的に、高濃度フッ素を塗布してもらいましょう。特に子どもには効果的です。
習慣4:糖分を控えた食生活
虫歯菌は、糖分を餌にして酸を産生します。糖分のコントロールは、虫歯予防の要です。
間食の時間を決める
だらだら食べを避け、間食は1日1回から2回、時間を決めて摂取しましょう。
甘い飲み物を控える
ジュース、スポーツドリンク、炭酸飲料などは、糖分が多く、虫歯のリスクが高いです。水やお茶を選びましょう。
就寝前は水以外飲まない
就寝前に甘い飲み物や牛乳を飲むと、虫歯のリスクが高まります。歯磨き後は、水以外は口にしないようにしましょう。
よく噛んで食べる
よく噛むことで、唾液の分泌が促進されます。唾液は、口腔内を洗浄し、虫歯を予防します。
歯科医として診療していると、食生活と歯の健康の関係を痛感します。糖分を控えるだけで、虫歯のリスクは大幅に減少します。
習慣5:3ヶ月から6ヶ月に1回の定期検診
これは、一生自分の歯でいるために、絶対に欠かせない習慣です。
早期発見・早期治療
初期の虫歯や歯周病は、痛みなどの自覚症状がありません。定期検診により、早期に発見し、最小限の治療で済ませることができます。
プロフェッショナルクリーニング
自分では取りきれない歯石や汚れを、専門的に除去します。これにより、虫歯や歯周病を予防できます。
個別の指導
磨き残しのチェックや、正しいブラッシング方法の指導を受けられます。
次回の予約をその場で
検診が終わったら、その場で次回の予約を取りましょう。これが継続の秘訣です。
歯科医として、定期検診を受けている方と受けていない方では、10年後、20年後の残存歯数に、明らかな差があることを実感しています。
習慣6:禁煙
タバコは、歯周病の最大のリスク要因です。
歯周病のリスクが数倍に
喫煙者は、非喫煙者に比べて、歯周病になるリスクが2倍から8倍高まります。
治療効果の低下
喫煙者は、歯周病の治療効果も低くなります。
全身への影響
タバコは、口腔の健康だけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼします。
歯科医として、喫煙者の口腔内を診ると、歯周病の進行の早さに驚かされます。禁煙することで、歯周病のリスクは大幅に減少します。
習慣7:ストレス管理と十分な睡眠
意外に思われるかもしれませんが、ストレスと睡眠は、口腔の健康に大きく影響します。
ストレスの影響
ストレスにより、免疫力が低下し、歯周病のリスクが高まります。また、歯ぎしりや食いしばりの原因にもなります。
睡眠の重要性
睡眠不足は、免疫力を低下させます。1日7時間から8時間の睡眠を目標にしましょう。
リラックスする時間
適度な運動、趣味を楽しむ時間、深呼吸やストレッチなど、リラックスする時間を意識的に持ちましょう。
年代別のアドバイス
20代から30代
虫歯予防が中心です。正しい習慣を身につける重要な時期です。この時期に確立した習慣が、生涯の口腔の健康を左右します。
40代から50代
歯周病のリスクが高まる時期です。定期検診を欠かさず、禁煙、ストレス管理が特に重要です。
60代以降
唾液の分泌が減少し、口腔内が乾燥しやすくなります。こまめな水分補給、唾液腺マッサージ、口腔保湿剤の使用が効果的です。残っている歯を大切にし、入れ歯やインプラントのメンテナンスも重要です。
歯を失うとどうなるか
歯科医として、多くの方が歯を失った後に後悔される姿を見てきました。
噛む機能の低下
食事が楽しめなくなり、栄養状態が悪化します。
消化器官への負担
よく噛めないと、胃腸に負担がかかります。
認知機能の低下
噛む刺激が脳に伝わらなくなり、認知機能が低下すると言われています。
顔貌の変化
歯を失うと、顔の下半分が短くなり、老けた印象になります。
自信の喪失
見た目が気になり、人前で笑えなくなるなど、生活の質が大きく低下します。
歯科医からのメッセージ
歯科医として、日々患者さんと向き合う中で、強く思うことがあります。それは、「予防こそが最善の治療である」ということです。
どんなに優れた治療技術があっても、失った歯を完全に元に戻すことはできません。しかし、予防により、歯を失わずに済みます。
一生自分の歯でいるために必要なのは、特別なことではありません。毎日の小さな積み重ねです。
今日から、この7つの習慣を始めてください。10年後、20年後、そして80歳になった時、きっと「あの時始めて良かった」と思える日が来るはずです。
まとめ
一生自分の歯でいるための7つの習慣は、毎日の丁寧な歯磨き、デンタルフロスの毎日使用、フッ素の積極的活用、糖分を控えた食生活、3ヶ月から6ヶ月に1回の定期検診、禁煙、ストレス管理と十分な睡眠です。これらは、特別なことではなく、今日から始められることばかりです。年代別に注意点があり、20代から30代は習慣の確立、40代から50代は歯周病予防、60代以降は口腔乾燥対策が中心です。歯を失うと、噛む機能の低下、消化器官への負担、認知機能の低下、顔貌の変化、自信の喪失など、生活の質が大きく低下します。予防こそが最善の治療です。毎日の小さな積み重ねで、一生自分の歯を守りましょう。今日から始めてください。
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