はじめに
小学生の時期は、乳歯から永久歯への生え変わりが進む重要な時期です。この時期に様々な歯並びの問題が顕在化してきます。「うちの子の歯並び、大丈夫かな」と心配される保護者の方も多いでしょう。歯並びの問題は、見た目だけでなく、噛む機能、発音、虫歯や歯周病のリスク、さらには全身の発育にも影響を及ぼすことがあります。早期に発見し、適切な時期に治療を開始することで、より簡単に、より良い結果を得られることも多いのです。この記事では、小学生で多く見られる歯並びの問題について、それぞれの特徴、原因、対処法などを詳しく解説していきます。
小学生の歯の発育段階
小学生の時期は、大きく3つの段階に分けられます。
乳歯列期(6歳頃まで)
すべての歯が乳歯の時期です。小学校入学前後までがこの時期に当たります。
混合歯列期(6〜12歳頃)
乳歯と永久歯が混在する時期です。6歳頃から第一大臼歯や前歯が生え変わり始め、12歳頃までに小臼歯や第二大臼歯が生えてきます。小学生のほとんどがこの時期に該当します。
永久歯列期(12歳以降)
親知らずを除くすべての永久歯が生え揃った時期です。小学校高学年から中学生にかけて移行します。
小学生で多い歯並びの問題
叢生(そうせい):ガタガタの歯並び
特徴
歯が重なり合ったり、ねじれたりして、デコボコに並んでいる状態です。日本人に最も多い歯並びの問題で、「乱杭歯(らんぐいば)」とも呼ばれます。
特に前歯部分の叢生が目立ちやすく、八重歯もこの一種です。
原因
最大の原因は、顎の大きさに対して歯が大きすぎる、または顎が小さすぎることです。現代の子どもは、柔らかい食べ物が中心の食生活により、顎が十分に発達せず、すべての歯がきれいに並ぶスペースが不足しています。
また、早期に乳歯を失ったり、乳歯が長く残りすぎたりすることも原因となります。
影響
歯磨きが困難で虫歯や歯周病のリスクが高まります。見た目のコンプレックスにもなりやすいです。
上顎前突(じょうがくぜんとつ):出っ歯
特徴
上の前歯が前方に突き出している状態です。一般的に「出っ歯」と呼ばれます。
上の歯だけが前に出ている場合と、上顎全体が前方に位置している場合があります。
原因
遺伝的な骨格の問題、指しゃぶりや舌を前に出す癖、口呼吸などの習慣が原因となります。特に指しゃぶりは、3〜4歳を過ぎても続けていると、上顎前突の原因となりやすいです。
影響
前歯が外傷を受けやすく、折れたり欠けたりするリスクが高まります。また、口が閉じにくく、口呼吸になりやすいという問題もあります。口呼吸は、口腔乾燥による虫歯や歯周病のリスク増加、風邪をひきやすくなるなどの全身への影響もあります。
下顎前突(かがくぜんとつ):受け口
特徴
下の前歯が上の前歯より前に出ている状態です。一般的に「受け口」や「反対咬合」と呼ばれます。
原因
遺伝的な骨格の問題が主な原因です。両親や祖父母に受け口の方がいる場合、子どもも受け口になる可能性が高くなります。
また、上顎の成長不足や、下顎の過成長により起こることもあります。
影響
見た目の問題だけでなく、前歯で食べ物を噛み切りにくい、サ行やタ行の発音がしにくいなどの機能的な問題も生じます。
受け口は早期治療が効果的です。小学校低学年のうちに治療を開始することで、顎の成長をコントロールし、将来的な外科手術を避けられる可能性が高まります。
開咬(かいこう)
特徴
奥歯を噛み合わせたときに、前歯が噛み合わず、隙間が開いている状態です。「オープンバイト」とも呼ばれます。
原因
指しゃぶり、舌を前に出す癖、口呼吸などの習慣が主な原因です。特に、4歳を過ぎても指しゃぶりを続けていると、開咬のリスクが高まります。
また、舌の位置が低く、常に舌が前歯を押している「舌癖(ぜつへき)」も原因となります。
影響
前歯で食べ物を噛み切ることができず、奥歯に過度な負担がかかります。また、口が閉じにくく、常に口が開いている状態になりがちです。発音にも影響が出やすく、特にサ行やタ行の発音が不明瞭になることがあります。
過蓋咬合(かがいこうごう)
特徴
噛み合わせが深く、上の前歯が下の前歯を大きく覆い隠している状態です。「ディープバイト」とも呼ばれます。
正常な噛み合わせでは、上の前歯が下の前歯の3分の1程度を覆いますが、過蓋咬合では下の前歯がほとんど見えないほど深く噛み込んでいます。
原因
遺伝的な骨格の問題、奥歯の早期喪失により噛み合わせが深くなることなどが原因です。
影響
下の前歯が上顎の歯茎を傷つけることがあります。また、顎関節に負担がかかり、顎関節症のリスクが高まります。
正中離開(せいちゅうりかい):すきっ歯
特徴
上の前歯の真ん中に隙間がある状態です。「すきっ歯」と呼ばれます。
原因
小学生の場合、永久歯が生える途中で一時的に隙間ができることがあります。これは「みにくいアヒルの子の時期」と呼ばれ、犬歯が生えてくると自然に閉じることが多いため、すぐに治療が必要というわけではありません。
しかし、上唇小帯(上唇と歯茎をつなぐヒダ)が太く、前歯の間に入り込んでいる場合や、歯の本数が足りない場合、歯が小さい場合などは、自然には閉じないため、治療が必要になります。
影響
見た目の問題のほか、発音(特にサ行)に影響が出ることがあります。
交叉咬合(こうさこうごう)
特徴
上下の歯の噛み合わせが横にずれている状態です。奥歯の一部または全部が、本来とは逆の関係で噛み合っています。
原因
顎の成長の左右差、頬杖をつく癖、片側だけで噛む癖などが原因となります。
影響
顔の左右対称性が崩れ、顔が歪んでしまうことがあります。また、顎の関節や筋肉に不均等な負担がかかり、顎関節症のリスクが高まります。
交叉咬合も早期治療が効果的で、顎の成長をコントロールしやすい時期に治療を開始することが推奨されます。
歯並びの問題を引き起こす悪習癖
指しゃぶり
3〜4歳を過ぎても指しゃぶりが続いている場合、上顎前突や開咬の原因となります。できるだけ早く卒業させることが大切です。
口呼吸
口呼吸は、顎の発育に悪影響を及ぼし、歯並びの問題を引き起こします。鼻詰まりがある場合は、耳鼻咽喉科で治療を受けましょう。
舌癖
飲み込むときや話すときに、舌を前歯に押し当てる癖です。開咬や上顎前突の原因となります。
頬杖
頬杖をつく癖は、顎の成長に左右差を生じさせ、交叉咬合や顔の歪みの原因となります。
爪噛み、唇を噛む
これらの癖も歯並びに悪影響を及ぼします。
歯科医院を受診すべきタイミング
以下のような場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
- 明らかな歯並びの異常がある
- 受け口がある(早期治療が効果的)
- 交叉咬合がある(早期治療が効果的)
- 6歳臼歯が生えてこない、または変な位置に生えている
- 乳歯がなかなか抜けず、永久歯が横から生えてきている
- 悪習癖があり、やめられない
- 保護者が心配している
日本矯正歯科学会では、7歳までに一度、矯正歯科医の診察を受けることを推奨しています。問題がなければ経過観察となりますが、問題がある場合は適切な時期に治療を開始できます。
早期治療のメリット
小学生のうちに治療を開始することで、以下のようなメリットがあります。
- 顎の成長をコントロールできる
- 永久歯を抜かずに治療できる可能性が高まる
- 治療期間が短縮できることがある
- 将来的な外科手術を避けられる可能性がある
- 悪習癖の改善がしやすい
まとめ
小学生で多い歯並びの問題には、叢生、上顎前突、下顎前突、開咬、過蓋咬合、正中離開、交叉咬合などがあります。それぞれ原因や影響が異なり、適切な治療時期も異なります。
特に受け口や交叉咬合は、早期治療が効果的です。また、指しゃぶりや口呼吸などの悪習癖は、歯並びの問題を引き起こすため、早めに改善することが大切です。
定期的に歯科検診を受け、必要に応じて矯正歯科医に相談することで、子どもの歯並びの問題を早期に発見し、最適なタイミングで治療を開始できます。美しく健康な歯並びは、子どもの将来の財産となります。
お子様にもおすすめ!怖くない、痛くない、安心して通える、優しいスタッフと楽しい雰囲気の歯科医院です。
ひだまり歯科、是非、ご来院ください。




