「治療したのにまだ痛い」「麻酔が切れたらズキズキしてきた」——虫歯の治療を受けた後に痛みが出てくると、「ちゃんと治っているのだろうか」「何か問題があるのではないか」と不安になることがあります。実は、虫歯治療中や治療後に痛みが出ることは珍しくなく、多くの場合は一時的なものです。しかし中には、追加の処置が必要なサインとなる痛みもあります。この記事では、虫歯治療中・治療後に痛みが出る主な理由と、それぞれの対処法について詳しく解説します。
目次
治療中に痛みが出る理由①:麻酔の効きが不十分なとき
虫歯治療では局所麻酔を使って痛みをなくしてから処置を行いますが、麻酔が十分に効いていない状態で治療が進むと、削る刺激が痛みとして感じられることがあります。
麻酔の効きが悪くなりやすいのは以下のような場合です。
炎症が強いとき 虫歯による炎症が強い場合、炎症部位は組織が酸性に傾いているため、麻酔薬の効果が発揮されにくくなります。神経に達した重度の虫歯(C3)では、通常の量の麻酔では効きにくいことがあります。
麻酔が浸透するまでの時間が足りないとき 麻酔を注射してすぐに治療を始めると、まだ十分に浸透していない状態で処置が進んでしまうことがあります。麻酔が効くまでには通常5〜10分程度かかります。
奥歯・下の歯への麻酔 上の歯に比べて下の奥歯(下顎大臼歯)は骨が厚く、麻酔の浸透に時間がかかったり、効きにくいことがあります。下顎の臼歯への処置では「下顎孔伝達麻酔」という神経ブロックの方法を使うこともありますが、それでも個人差があります。
治療中に痛みを感じたら、我慢せず歯科医師にすぐ伝えましょう。追加の麻酔を打つことで対応できます。
治療中に痛みが出る理由②:神経に近い部分を削るとき
虫歯がエナメル質の奥の象牙質まで進行している場合(C2)、削る際に神経に近い刺激が生じて痛みや違和感を感じることがあります。
象牙質には無数の「象牙細管」と呼ばれる細い管が走っており、この管を通じて神経へ刺激が伝わります。麻酔が効いていても、削る振動・水の温度・空気の刺激などが象牙細管を通じて微かな刺激として伝わることがあります。
この痛みは処置が神経に近い部分に及んでいるサインであり、必ずしも治療が失敗しているわけではありません。歯科医師はこの段階で、神経を保護する薬(覆髄剤)を置くかどうかを判断します。
治療後に痛みが出る理由①:処置後の一時的な炎症反応
麻酔が切れた後に痛みが出るのは、虫歯治療では非常によくあることです。これは歯の組織に処置の刺激が加わることで起こる一時的な炎症反応です。
削ること自体が歯の組織に微細なダメージを与え、歯髄(神経が通っている部分)や周囲の組織が反応して炎症が起こります。この痛みはたいてい数日以内に落ち着きます。特に象牙質まで進んでいた虫歯の治療後は、この反応が出やすい傾向があります。
痛みが続く場合は市販の鎮痛剤(アセトアミノフェン・イブプロフェンなど)で対処できることが多いですが、痛みが強い・長引く場合は歯科医師に相談することが必要です。
治療後に痛みが出る理由②:噛み合わせが高くなっている
詰め物や被せ物を入れた後に、治療した歯が他の歯よりも高くなってしまう(噛み合わせが高い)と、その歯に噛む力が集中して痛みが出ることがあります。
この噛み合わせのズレは、麻酔が効いている状態で噛み合わせの確認をしたために気づきにくかったり、治療直後はまだ感覚が戻っていないために「ちょうどいい」と感じてしまうことが原因です。
高い噛み合わせをそのままにしておくと、痛みが続くだけでなく、歯を支える骨や歯周組織にも悪影響を及ぼすことがあります。「治療した歯だけ当たる感じがする」「食事中に特定の歯が痛む」という場合は、早めに歯科医院で噛み合わせの調整を受けましょう。
治療後に痛みが出る理由③:歯髄炎への移行(神経の炎症)
C2(象牙質の虫歯)の治療後に、詰め物を入れてしばらく経ってから強い痛みが出てくる場合があります。これは、虫歯の刺激によってすでに歯髄(神経の組織)に炎症が起き始めていたケースで、治療後に「不可逆性歯髄炎」に移行したことが原因です。
不可逆性歯髄炎とは、歯髄の炎症が自然には回復できない段階まで進んだ状態を指します。この場合、詰め物を外して根管治療(神経を取る治療)を行う必要があります。
治療後に「何もしなくても痛む」「夜に特に痛みが強くなる」「冷たいものより温かいものがしみる」などの症状が出てきた場合は、歯髄炎への移行が疑われるため、早めに受診することが重要です。
治療後に痛みが出る理由④:根管治療後のフレアアップ
根管治療(神経の治療)中・後に、急激に強い痛みや腫れが出ることがあります。これは「フレアアップ」と呼ばれる現象で、治療による刺激や根管内の細菌・毒素が根の外に押し出されることで起こる急性炎症反応です。
フレアアップは根管治療を受けた人の数%程度に起こるとされており、治療が失敗しているわけではありません。ただし、突然の激しい痛みや腫れは患者さんにとって非常につらいものです。
フレアアップが起きた場合は歯科医院に連絡し、抗菌薬や鎮痛薬の処方を受けることで対応します。数日以内に症状が落ち着くケースがほとんどです。
治療後に痛みが出る理由⑤:根管治療後の根尖性歯周炎
根管治療が完了し、被せ物が入った後でも、根の先に慢性的な炎症(根尖性歯周炎)が残っていたり、再発したりすることがあります。
この場合、噛んだときに痛む・歯を押さえると痛む・歯肉にフィステル(小さなできもの)ができるなどの症状が現れることがあります。レントゲンで確認すると、根の先に透過像(骨が溶けた影)が見られます。
治療としては、被せ物を外して根管の再治療(再根管治療)を行うか、歯肉を切開して根の先を直接処置する「歯根端切除術」が選択されることがあります。
痛みが出たときの対処と注意点
まず歯科医院に連絡する 治療後に痛みが続く・強くなるといった場合は、自己判断せず担当の歯科医師に連絡しましょう。電話で症状を伝えれば、受診の緊急性を判断してもらえます。
市販の鎮痛薬は一時的な対処として 一時的な炎症反応による痛みは、市販の鎮痛薬でしのぐことができます。ただし、鎮痛薬で痛みが消えたとしても根本的な原因が解決したわけではないため、症状が続く場合は受診が必要です。
温めることは避ける 痛みがあるときに患部を温めると、血流が増加して炎症が悪化し、痛みが増すことがあります。入浴・飲酒・激しい運動など体温を上げる行動は、治療後の痛みが強いときには避けましょう。
まとめ
虫歯治療中・治療後の痛みには、麻酔の効き具合・神経への刺激・一時的な炎症反応・噛み合わせのズレ・歯髄炎への移行・フレアアップ・根尖性歯周炎の残存など、さまざまな原因があります。多くの痛みは数日以内に落ち着く一時的なものですが、「何もしなくても痛む」「強い痛みや腫れが出た」「1週間以上痛みが続く」といった場合は、追加の処置が必要なサインである可能性があります。
治療後の痛みを放置せず、気になる症状があれば早めに歯科医師に相談することが、治療をスムーズに進めるための最善策です。
患者様に寄り添い、丁寧で優しいケアを大切にする、怖くない、痛くない歯科医院です。
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